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弱者の戦略が、僕らを勝者にする。

「僕らには弱者の差別化集中戦略しか勝ち筋がない。それにこれはメンバーに対しても、自分自身に対しても、言い続けないといけないと思っています」

今回は代表取締役の永井さんに、TOWNで重視している「弱者の差別化集中戦略」についてインタビューしました。

弱者の差別化集中戦略とは何なのか、なぜその戦略を重視しているのか。詳しく聞いていくと、TOWNに「小さな失敗を乗り越えた先に、成功がある」というカルチャーがある理由がわかってきました。

「戦略」と「戦術」の違いって?

── TOWNでは「戦略」「戦術」という言葉がよく使われていますが、それぞれどのような意味で使っていますか?

何か成し遂げたい目的があるとき、「戦略」はそれを達成するために、戦う場所や、人とお金のリソース配分を決めて、勝ち筋を見つけることを指して使っています。戦略を実行するのが「戦術」で、例えば営業の仕方や開発の仕方など、現場でいろいろな手段がある中で勝ってもらうことです。

メンバーを勝たせるためには戦略が確実に必要で、その戦略を決断するのが責任者や経営者の仕事です。

── 目的達成のために、どこを狙うか場所を決めて、そこに投入するリソースを決めて、メンバーを勝たせる勝ち筋を作るまでが戦略。それを実行するのが戦術ということですか?

そうですね。例えば広報だと「会社の認知度をあげる」という目的があって、それを達成するために色々な手段がある中で、「マンガという領域で、予算と島津さんの時間をこのくらいかける」と決めるまでが戦略。そして僕が戦略を決定した瞬間から、勝てなかったら僕の責任です。

その戦略の中でどう勝つかは、島津さん次第です。だからマンガのストーリーをどうするかのような戦術については、僕はほぼ口を出さなかったよね。

── なるほど。普通にいけば勝てる場所に持っていくまでが戦略で、そこからどう勝つかは戦術ということですね。

そうですね。「ターゲットを決めて、お金と人の時間をここに使う」と決めるのが戦略。でもその時点である程度勝ち筋が見えてないと、それはいい戦略ではない。

そうやってメンバーを勝ち筋にのせることが、経営者や責任者の仕事だと思っています。そうすれば勝手に勝つから。その過程で小さい失敗はするけど、でもそこで必ずメンバーも会社も成長します。

勝ち筋は「弱者の差別化集中戦略」で見つける

── 戦略を立てる時、勝ち筋はどのように見つけるのですか?

何回も負けた経験があるから分かったというのもあるけど(笑)。「人とお金のリソースをどこに投下したら勝てるか」という勝ち筋は、弱者の差別化集中戦略を重視して決めています。

── 弱者の差別化集中戦略?

簡単に言えば、「狭くリソースを突っ込むこと」ですね。大企業とベンチャー企業だと、リソースに雲泥の差がある。その状況で弱者であるベンチャー企業が勝ちたければ、戦う範囲を狭くしてそこにリソースを集中する戦略しか、勝ち目がありません。

── 確かにリソースの少ない弱者が満遍なく戦っても、全部の領域で負けるだけですもんね。

そうですね。僕らには弱者の差別化集中戦略しか勝ち筋がない。それにこれはメンバーに対しても、自分自身に対しても、言い続けないといけないと思っています。

── なぜですか?

世の中にはいろんな会社の施策の情報が溢れているから。そうなると「他社もやっているからこれやろう」とか、自然と自分達も戦力を分散させてしまいます。だからTOWNでは弱者の差別化集中戦略で戦うことを意識しています。意識しないと勝てないから。僕たちが勝つためには弱者の差別化集中戦略しかありません。

STP分析で戦うセグメントを見つける

── 狭い領域で戦うことが大事なのは理解しました。しかしどのようにその領域を見つけているのですか?

TOWNではSTP分析を重視しています。単純に狭くするといっても、フレームワークがないとどう狭くするのかわからない。STP分析をすると自然と狭くできて、そこに勝ち筋があるのか、ある程度シュミレーションできます。

サービスがどの領域を攻めようとしているのか、セグメント(S)をまず見つける。その中でターゲット(T)の具体的な痛みを見つけて、その人たちに対してどういうポジション(P)を築けば、痛みを解消できるか、STP分析にはそれら全てが含まれます。

── でも狭くしすぎてしまうことはないのですか?その塩梅が難しそうだなと。

「勝てるところまで狭くする」ということですね。いくら狭くしたと言っても、勝てなければ狭くなっていません。計算上は相手の3倍の戦力でないと必勝にならないので、そこまで狭くする必要があります。

だけど、もちろんずっと狭いところで井の中の蛙になる必要はありません。勝ったら次のセグメントを見つけて戦います。それで最終的には全国を塗りつぶしている状態を目指します。ユニクロやセブンイレブンとか、今1位の会社も最初から全国に向けてはいなくて、そういうふうに小さく勝ち進めばいい。

── 小さい勝ちを積み重ねていくことで、最終的に大きな勝ちにしていくということですね。

小さい失敗の先に成功がある

── STP分析のフレームワークを用いるとはいえ、実際にやってみて本当に勝てるセグメントを見つけるのは難しそうです。

そうですね。勝てるセグメントを見つけるためには仮説検証が必要です。その過程では小さい失敗をしながら進んでいくことになります。

失敗も、「小さい失敗」であることが重要だと考えていて。セグメント検証をするとき、一発で当てることは難しいから、一か八かのギャンブルのように初手から大きく出ることはしない。それに「次に繋がる失敗」をすることも重要だと思う。だからゼロに収束する検証ではなく、次の手も意識して検証します。

ただ、失敗を前提として臨んでしまうと、その失敗は次の成功にも繋がらない。だから毎回「絶対に成功するんだ!」というつもりで仮説検証をしていきます。

── 確かに広報でいうと、マンガ施策を始めたのは、その前にウェビナーがあって、その失敗から学んだことがきっかけでした。

「前の失敗を拾い上げて何がなんでも成功する」となるし、そうなると前のも失敗じゃなかったことになる。失敗から何かヒントを得て、また他のやり方を見つけたら成功する。失敗も結局は何かの肥やしになります。

── 動いてなければ、そのヒントも得られないですもんね。

最初から渾身のプロジェクトで「これ失敗したら終わりだから。絶対失敗しないでね」ってやると、何もできなくなってしまうよね(笑)。

── 怖すぎる(笑)。

僕たちは一つひとつの施策への投資額はそんなに大きくない。だけど全体で考えたら、大きい投資になっています。その方法だと後々小回りが利くから。これはバリューの「最小最速」にも繋がっていて、最初から最大火力にしてしまうと後から巻き返せないけど、最小最速でやっておけば次に早く活かせます。

── 失敗の判断というか、「じゃあ次に行こう」というのはどう決めますか?

そこはリスクとリターンの関係でしかないかもしれないですね。そこで判断しないと会社として生存できないから。10万円かけて10万円分のリターンがあるかどうかで、次に10万かける時はリターンのある方にかけます。

── でも少額でリターンが返ってくるものだけとは限らないじゃないですか。例えばマーケティングの企画などは少額ではやりにくいのではないですか?

「企画がやりにくい」というのは、大手みたいな一度に多額のコストをかける企画はやれないだけで。だから僕たちに合った企画をやればいいと考えています。

例えばウェビナーのように小さくできる企画から始めて、リターンがあればそれは勝ち筋だからそれをすればいい。最初から100万円は使えないけど、10万円でリターンがあれば今度は20万円でできます。20万円でリターンがあれば30万円。そうやってわらしべ長者ができる。逆に言うと、わらしべ長者ができないような勝ち方はありません。

── なるほど。そうやって勝ちをだんだん大きくしていくのですね。

このやり方だと、絶対勝つから。だって死なないようにやってるので。生き残れるし、小さな勝利の積み重ねで、結果的に大きい勝利になる。

戦略は明文化する

── 一つ懸念に思ったのが、メンバーがこの弱者の差別化集中戦略を理解していなければ、「やることが頻繁に変わって、会社が何を考えているかわからない」と感じてしまいそうで。根本の戦略自体は変わっていませんが、最終的なアウトプットは変わるので。

そうですね。だから伝わる明文化が大切で、責任者にはメンバーも見れる戦略説明資料を必ず書いてもらっています。根本の弱者の差別化集中戦略は変わりませんが、狙うセグメントが変われば書き換えるし、それによって戦略やリソース配分とか組織体制が変われば書き直してもらっています。

── 戦略は責任者が書いて作られているのですか?

そうですね、責任者が戦略を書くことは共通しています。僕は経営戦略を書くし、事業責任者は事業戦略を書くし、開発責任者、営業責任者もそれぞれ書く。責任者クラスは、全員戦略を書きます。

その戦略説明資料をもとに、定期的に戦略会議として取締役を交えてレビューをしています。レビューでは「こういう風に書いて」というより、そこで壁打ちして責任者が気づくようにすることが重要だと思っています。

たまに、僕は「これは多分失敗するだろうな」と思っていても、責任者がやるって言えばやることもあります。

── 失敗することがわかっていてもやるのですね…!

さっき話したのと同じで、失敗したとしても、何かしら次のためのヒントが得られるから。前に事業責任者にも言われたのが「永井さんって、失敗させるよね」って(笑)。

── 私も以前はそう思っていました!「私、TOWNに来てたくさん失敗してる。仕事下手になったのかな?」って(笑)。今はTOWNの考え方を理解しているので、失敗は成功のための検証過程だとわかりますが、これまで自分がいた環境だと「失敗はするな」が常識だったので。

(笑)。でも、この考え方がわかると、その失敗は次に繋がって、取り返すチャンスがあるんだっていうのがわかってもらえると思う。

一般的に失敗と言われていることを、僕たちは失敗と思っていない。一つのハードル程度で。それが跨げなかったら、違うハードル跨ぎにいけばいい。そうやって勝てる場所を探して、勝ちを積み重ねて大きな勝ちにしていく。

── 弱者の差別化集中戦略って、生存戦略をとりながら大きくなってきたTOWNらしい考え方だと思いました。小さく失敗しながら挑戦し続ける。人が増えることで試行錯誤の数も増える。過去の失敗から学んで成長のスピードも上がる。それを積み重ねて勝利を大きくしていく、という。本日はありがとうございました!

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島津 由
TOWN株式会社で広報をやっています。「TOWNの魅力を伝えたい!」と日々奮闘中。

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